この記事では、歪みエフェクターの仕組み(クリッピング回路)についてまとめています。
歪んでいる音の状態
歪ませていない状態の音の波形は、電圧が+と-を行き来しており上下に揺れています。
歪みエフェクターなどを使用して音が歪んでいると波形の頂の部分が潰れた形になります。
(下のイメージ図のようになっています。)
音の波形が潰れた形になることで入力していないほかの周波数帯域成分が生まれ、音が歪んで聞こえるようになります。
クリッピング回路の仕組み
音を歪ませる回路は様々な種類がありますが、一例としてダイオードを使用するクリッピング回路があります。
クリッピング回路は、以下のダイオードの特性により機能しています。
特性1.順方向では電流が流れ、逆方向では電流が流れない。
特性2.順方向に一定の電圧が加わると電流が流れ始める。
ダイオードの特性1.順方向では電流が流れ、逆方向では電流が流れない。
ダイオードの両端の電極には、それぞれアノード(陽極)、カソード(陰極)と名前が付けられています。
アノードに+の電圧が加わると、電流が流れます。(順方向)
逆にカソードに+の電圧が加わっても、電流は流れません。(逆方向)
ダイオードの特性2:順方向に一定以上の電圧が加わると電流が流れ始める。
ダイオードは、0.6V程度の順電圧が加わると電流が流れる特性があります。
電流が流れ始める順電圧は、部品によって違うためデータシートで確認します。
ちなみにダイオードは逆方向に電流は流れない特性がありましたが、大きな逆電圧が加わると、急激に電流が流れ始めます。
これを降伏現象と呼び、電圧が一定に保たれるため定電圧回路に使用されます。
逆電圧についてもデータシートで確認することが出来ます。
クリッピング回路で起こっている動作
入力信号の中でダイオードが動作する電圧の信号が流れることで、音の波形が潰れた形になります。
音の波形は電圧が+と-を移動するため、ダイオードを二方向に取り付けます。
クリッピング回路に使用するダイオードの順方向電圧を変えたり、種類を超えることで歪む音の聞こえ方が変わります。
クリッピング回路は音を歪ませる役割を持ちますが、実際の歪みエフェクターではその前後で別の回路を通っていたりします。また、その中で使用するオペアンプを変えることでも音が変化します。
下のリンクの本では歪みエフェクターを例にして、回路の中身を役割ごとに分割して説明されています。
電気の基礎知識についても記載があるため、初心者の方でも理解がしやすくなっていると思います。
また真空管を使ったアンプを例にして、ギターアンプの仕組みについても記載されています。
これからエフェクターの回路の仕組みについて勉強を始めようとしている方にお勧めです。